子どもの歯への不安… 歯磨きや矯正を考え始めるタイミングは?
お子さんの歯に関することで悩んでおられるお母さんは多いのではないかと思います。
「歯磨きはちゃんとできているんだろうか」
「いつから歯医者さんに行けばいいんだろうか」
「歯並びはこれで正しいんだろうか」
など、いくら考えてもお悩みは尽きないと思います。 私も二児の父なのでとてもよく分かります。
お悩みをしっかりと解決するには、できればお子さんのお口の中を診せていただきたいのですが、今回は、その中のいくつかだけでもお応えできればと思います。
歯の生え変わる順番と時期は?
6歳くらいになると乳歯から永久歯への交換が始まります。
乳歯の20本が抜けて、永久歯は28本生えてくることになり、永久歯への交換が完了するのは小学校が終わる頃の13歳くらいになります。 生えかわりの時期は、ただ歯が生えかわっていくだけではなく、身体の成長とともに歯を支える顎の骨も同時に大きくなっていきます。
永久歯に生えかわる順番としては、乳歯の生え始めと同じように下の歯の前歯から生えかわることが多いです。
そして下の前歯の乳歯がぐらぐらして抜けてくるのと同じ頃に、一番奥の乳歯のさらに奥に上下とも永久歯が生えてきます。 乳歯の時には無かった、前から6番目の歯で、「6歳臼歯(ろくさいきゅうし)」と一般的に呼ばれます。
順番が前後することもありますが、永久歯の生える順番としては、①⑥→②→③④⑤→⑦(前から数えた順番の数字)となります。
①⑥ | 6~8歳頃 |
---|---|
② | 7~9歳頃 |
③④⑤ | 10~12歳頃 |
⑦ | 11~13歳頃 |
親知らずはいつ頃生えてくる?
「親知らず」と呼ばれる歯は、前から8番目に生えてくる歯のことで、きれいに生えてくること自体が稀ですが、18歳以降くらいに生えてきます。
親知らずの歯は、もともと無い人もいますし、歯はあるのに斜めに生えてきたり、顎の中で動かず生えてこなかったりする「気まぐれな歯」です。
永久歯がなかなか生えてこない…
乳歯が抜けたのに、永久歯がなかなか生えてこないことがあります。
これにはいくつかの原因があります。
- 「乳歯が抜けるのが早すぎた」
- 「もともと永久歯が無い」
- 「余分な歯や他の歯が原因で出てこられない」
- 「歯ぐきが硬くなってしまって出てこられない」
- 「嚢胞や他の全身的な病気が原因で出てこられない」
場合によっては、邪魔になっている余分な歯をとったり、硬くなった歯ぐきを切ったりすることが必要な場合もあります。 多少の遅れは気にする必要はなく、反対側の同じ順番の歯が生えているかどうかが指標になります。
抜ける順番が違う…生えてくる順番が違う…
乳歯の根っこが溶けて脱落していくのと同時に、永久歯が萌出していきます。
永久歯の生えるタイミングは、乳歯の脱落にも影響されるので、歯の生える順番や時期、出てくる場所など思っていた通りに生えてこないこともしばしば見られます。
上でも書きましたが、多少の遅れや順番のずれは気にする必要ありません。 定期的に受診してもらっていたら、少しおかしい場合にこちらから早めに情報提供や対処が可能なので、特に生えかわりの時期には定期的な受診をお勧めします。
永久歯が生えてきたのに乳歯が抜けない
永久歯は乳歯の下から生えてきますが、永久歯が真下から少しずれて生えてくると、乳歯の根っこが一部だけ吸収されずに抜けない場合があります。
そのままにしておくと、その乳歯をよけて斜めに生えてくることになり、歯並びがずれた状態で定着してしまう原因になります。 タイミングにもよりますが、歯科を受診してその乳歯を抜いてもらった方がいいでしょう。
他の子より生えかわりが早い
他の子よりも生えかわりが早いときは、「本当に永久歯が早く出てきた場合」と「出てくるべき歯とは違う歯や余分な歯が出てきた場合」が考えられます。
これはレントゲン検査によって診断することになりますので、おかしいなと思ったら受診してください。
永久歯が出てくるのが早くなる原因は、「乳歯の虫歯がひどくて早く根っこが吸収してしまった場合」によく見られます。 生えかわりが早いこと自体には問題はありませんが、その分永久歯が早く出てくるので、生えかけている歯の歯磨きをしっかり行っていく必要があります。
他の子より生えかわりが遅い。乳歯が全然抜けそうにない
生えかわりの時期に関しては、個人差は大きく、多少のずれは問題ありません。
しかし、左右反対側の歯は乳歯が抜けて永久歯が生えてきているのに、こちらの乳歯が全くぐらぐらしていないなどの大きな差がある場合は注意が必要です。
「生えかわる永久歯が元々無い」
「永久歯はあるが、別方向や別の場所に生えようとしている」
「嚢胞などの病巣があり、永久歯が萌出できない」
「乳歯が低位歯(ていいし)という状態であり、顎の骨に癒着してしまっている」
などがあげられます。 まずは、レントゲン検査を行って診断を行った方がよいでしょう。
生えたばかりの歯が黄色い
永久歯が出てくると、「明らかに他の歯よりも黄色い歯が生えてきた!」と驚く人が多く見られます。
この場合、多くは黄色い歯が生えてきたのではなく、元々の歯の色(普通の歯の色)であることが多いです。
白い歯の乳歯と比べて元々永久歯は少し黄色であり、生えかわり時期は周りの乳歯が白いため、なおさら比較されて黄色く見えてしまいます。 歯の周りを覆うエナメル質という固い組織は本来透明なので、永久歯では歯の中身の黄色が透けて見えますが、乳歯の場合はそのエナメル質が不完全に固まっているため白色であり、乳歯は永久歯よりも白く見えることになります。
その一方で、汚れや初期虫歯の場合、あるいはエナメル質形成不全症という硬化不全の状態の場合も黄色くなります。 生えたての歯は虫歯にもなりやすく、生えている途中の歯は歯磨きも難しいです。 受診して歯磨きのやり方をちゃんと聞いておきましょう。
生えかわりの部分の歯ぐきが腫れてる
永久歯が出てくる前に歯ぐきが腫れている場合、「萌出性歯肉炎(ほうしゅつせいしにくえん)」という状態になっていることがあります。
歯が生えようとしているところの穴やその周りの歯ぐきの炎症が起こり、その部位の腫れと痛みを発症します。 ひどい場合には細菌感染を併発するので、切開や抗生物質などの内服が必要になります。
永久歯が出てきた後の歯ぐきの腫れは「不潔性歯肉炎(ふけつせいしにくえん)」といい、つまり汚れが原因で歯ぐきが腫れているので、歯磨き指導を受け、その部位のクリーニングが必要になります。
上の前歯が離れて出てきてる。「すきっぱ」になりそう!
上の前歯はほとんどの場合、歯と歯の間が離れて出てきます。
隣の歯が生えてくると、押されてその隙間が閉じてきます。 完全に閉じるのは、前から3番目の歯が生えきった頃になるでしょう。
しかし、閉じてこない場合もあります。 原因としては、
「顎の骨の中に余分な歯がある」
「上唇小帯(じょうしんしょうたい)という唇からつながるヒダが邪魔している」
「爪を噛んだり指しゃぶりの癖がある」
などが挙げられます。
歯並びが悪いみたいだから矯正を考えたい。いつから?
基本的に子どもの矯正治療は、顎の成長を妨げないように少なくとも「前から3番目の歯が生えてから」というのが原則です。
歯並びが悪いと思っても、顎の成長や舌・頬・唇の力である程度おさまってきます。
しかしながら、あくまで原則はそうですが早く手をつける必要がある場合もあります。 さらに歯並びの改善は1日や1ヶ月くらいで終わるものでもなく、準備と計画が必要です。歯並びについて考え始めたくらいから相談してみてください。
最後に
なるべく分かりやすくご説明したつもりですが、もし分からないところがあればお気軽にご相談ください。
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今後とももんのうち歯科クリニックをよろしくお願いいたします。