歯周病は自宅で治せるものなのか?うがいや飲み薬で治せそうだけど…
歯周病は軽い病気と考えている方が多いようで、何度か聞かれたことがあります。
うがいとか飲み薬とか、家で歯周病を治せないですか?
結果だけ先にお答えすると、進行してしまった歯周病をご自宅で治療することはできません。
このページでは、
・なぜ自宅で歯周病治療ができないのか
・歯周病用の洗口液や歯磨き粉にはどのような効果があるのか
・歯周病のために自宅でできることはないのか
など、皆さんの疑問にお答えしたいと思います。
歯周病治療を自宅でできない最大の理由
歯周病を自宅で治療できない理由は自宅で歯石取りができないからです。
歯周病は、歯の表面についたプラークや歯石の中にいる細菌が原因で起こります。 つまり、プラークや歯石を除去することで歯周病は治癒に向かいます。
プラークは軟らかいので自宅で行う歯磨きで除去することが可能ですが、プラークを取り残した場合、徐々に硬くなっていき、やがては歯石となります。 歯石は歯の表面で硬化しているので、歯科医院にある専用器具でしか除去できません。
根本的な原因(プラーク、歯石)を除去しない限り、歯周病はそのまま進行していきます。
自宅で歯石取りはできないのか?
市販の器具を使えばいくらかは取れますが、歯周病治療のために丁寧な歯石除去を行うことは一般の方には不可能です。
以前一緒に勤務していた先生が面白いページを作っていたので、興味のある方は見てみてください。 歯科医師が自分で歯石取りをしてみても十分に取ることはできなかったようです。
歯周病はうがいや洗口液で治りますか?
販売されている洗口液(うがい薬)の中には「歯周病に効く!」と大きく見出しがついているものがあります。 洗口液で歯周病が治せるならとてもお手軽ですね。
インターネットで検索してみるとこのような感じになりました。
これらは進行してしまった歯周病を治す薬品ではありません。
確かに洗口液はとても有用であり、口の中にある歯周病菌を殺菌してくれる作用があります。
しかし、洗口液ではすでに歯に付着している歯石の中の細菌には届きませんし、うがい薬でプラークや歯石を除去することはできません。
うがい薬は、プラークや歯石がつかないように歯周病を予防するための重要なアイテムとなります。
歯周病を治せる歯磨き粉はありますか?
販売されている歯磨き粉の中にも「歯周病に効く!」と大きく見出しがついているものがあります。
インターネットで検索してみるとこのような感じになりました。 非常にたくさんの種類があります。
ですが歯磨き粉も進行してしまった歯周病を治す薬品ではありません。
洗口液と同様に、歯磨き粉の中に歯周病菌を殺菌してくれる成分は確かに入っていると思いますが、歯磨き粉によってプラークや歯石は除去できません。 歯磨き粉も歯周病を予防するためのアイテムです。
また、歯磨き粉は、歯磨きをした後に水ですぐゆすいでしまうため、洗口液よりも口の中に存在する時間が少なくなります。 予防効果を高めるには、薬効成分の作用を効かせる時間が必要です。
歯周病を治せる塗り薬や軟膏はありますか?
「歯周病に効く!」と書いてある塗り薬がドラッグストアなどで販売されています。
インターネットで検索してみるとこのような感じになりました。 塗り薬としている商品は少ないようで、洗口液や歯磨き粉も混ざっていますね。
これは、歯肉の炎症を一時的に沈めてくれる作用(消炎作用)がいくらか期待できます。 ですがやはり進行してしまった歯周病を治す薬品ではありません。
消炎作用についても、一時的なものです!
虫歯で歯が痛いときに痛み止めの薬を飲むようなものです。 痛み止めの薬だけでは虫歯が治っていくわけではないのと同じように、一時的な消炎を行う軟膏だけではもちろん歯周病を治すことはできません。
仮に軟膏を塗り続けていたとしても、歯周病は変わらず進行していきます。
歯周病はアルコールで除菌できませんか?
歯周病が細菌感染であることはテレビでも言われているので、このようなイメージを持つ人もいるようです。
高濃度のアルコールを使用すれば確かに歯周病菌を殺すことが可能です。 ですが、歯周病菌を除菌・殺菌するには少なくとも70%以上の高濃度のアルコールを一定時間作用させることが必要で、お口の中でこんなことをしてしまうと先に歯ぐきの方が痛んでしまいます。 現実的にはアルコール消毒で歯周病を治すことはできません。
また、アルコールが【アルコール消毒】ではなく【アルコール飲料】、つまり「お酒を飲んでいれば歯周病を治せますか?」という意味の場合も同様です。 アルコールの濃度も、歯周病菌に触れさせる時間も十分ではないので、歯周病治療にはなりません。
歯周病は抗生物質(抗菌薬)で治りますか?
これも細菌感染が原因であることからくる疑問だと思います。
抗生物質(抗菌薬)は、確かに歯周病菌を一時的に抑えてくれる作用があります。 しかし、口の中の歯周病菌に対して内服した(飲んだ)薬だけで効果を与えることはとても難しく、治療といっしょに補助的に使われたり、腫れや痛みが強い場合に症状を一時的に抑えるために使われます。
発熱や腹痛など、全身の感染症の場合は、抗生物質を飲むとある程度薬が細菌を抑えてくれて、あとは自分の抵抗力(免疫力)で治っていきます。 しかし、歯周病は原因となるプラークや歯石を取り除かない限り治っていかないため、抗生物質の効力が切れてくるとまた元通りに戻ってしまいます。
つまり、抗生物質だけでは歯周病を治すことはできません。
歯周病“予防”には自宅での歯磨きが必要不可欠!
自宅でお手軽にできる歯周病治療は残念ながらご紹介できませんでしたが、ご自宅でできることがないというわけではありません。
歯周病は治療だけで終了せず、また発症しないように予防していくことがとても重要になります。 歯周病の原因である細菌を定着させないようにする、つまりプラークや歯石がたまっていかないように定期的に管理していくこと(メインテナンス)が重要です。 メインテナンスは日頃の歯磨きの方法の改善や定期的な歯石除去に加えて、虫歯や咬み合わせのチェックやフッ素塗布などを行っていきます。
まずはご自宅での歯磨きをしっかり行っていきましょう。
もし分からないところがあればお気軽にご相談ください。 当院では歯磨き指導も行っています。
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